渡辺けんじろう|西宮市議会議員|保育士経験を市政に|日本維新の会|(わたなべけんじろう)

学習塾講師など民間企業勤務や保育士を経て西宮市議会議員2期目です。

職員による不祥事事案から改めるべき点について①

平成31年3月予算特別委員会にて、入札情報の漏洩による不祥事への対策として、変動型最低制限価格の導入を提案してから、約4年と3カ月。いまだに不祥事が続き、再び不祥事について一般質問でとりあげることになるとは夢にも思いませんでした。厳格かつ適切な対応によって、二度とこのようなこと起きないようにと願いまして本題に移ります。



令和5年4月26日に職員が逮捕されて、5月17日付けで起訴、罰金30万円の略式命令を受けた事案についてです。一事不再理の原則に基づき今回の対応を変えることはできませんが、罰金納付をもって裁判としての手続き処分は完了していることから、今回の市の対応を踏まえて、改めるべき点について確認させていただきます。


時系列にすると、

・4/26逮捕。当日は連絡なく欠勤。所属から連絡するも連絡つかず。
一方、警察から市役所に対して在籍照会があり、市として逮捕事実を把握。

・4/27に本人の親族から体調不良で休むとの連絡があり。年次休暇取得の申請があり。26,27両日、事後申請により年次休暇取得。

・5/17略式起訴。略式命令により罰金30万円を納付。31日まで正式裁判請求期間(刑事訴訟法第465条)。

・5/18所属課 事情聴取

・5/23人事課 事情聴取

・526人事課 事情聴取(2回目)

・5/31裁判請求せず。

・6/1起訴状の内容確認。夜に職員分限懲戒審査委員会を開催。

・6/2委員会の内容をもとに処分内容を庁内で決裁。

・6/5本人に連絡。

・6/6本人に処分通知。逮捕日からこの日まで年次休暇を取得。




整理すると、

1点目

〇事後申請による年次休暇取得

事前申請で年次休暇を取得する際には理由を伝える必要はなく、労働者が指定した日に年次休暇を認めなければなりません。ただし、労働者の指定した日に年次休暇を認めると、事業の正常な運営が妨げられる場合は、使用者に休暇日を変更する権利(時季変更権)が認められています。

また、無罪推定の原則に基づくと、犯罪を行ったと疑われて捜査の対象となった人(被疑者)や刑事裁判を受ける人(被告人)について、「刑事裁判で有罪が確定するまでは『罪を犯していない人』として扱わなければな」りません。一方、年次休暇取得の事後申請については、時季変更権を行使するかどうか使用者側が判断する時間がないため、休暇取得を認めるかどうかは使用者裁量です。つまり、認めなくても良いというのが一般的な解釈です。

今回の事案にあてはめると、4/26,27を年次休暇でなく、欠勤とすることもできます。また、事後申請が事前申請と同じく理由不要とするのであれば、道義的な観点はともかく、出勤時間になって職場に現れずに、電話で、「休みます」と理由だけ伝えて年次休暇で休むことも良いということになります。




2点目

〇虚偽の理由で年次休暇取得

4/26,27に関して年次休暇取得理由は体調不良とのことでした。「休暇取得理由には真実を記載することが必要であり、取得理由の虚偽記載は懲戒処分事由に該当する」という判例もあります。(古河鉱業高崎工場事件-東京高判昭55・2・18)が、「西宮市職員の職員処分に関する指針」では年次休暇取得申請時の虚偽については処分の対象となりません。




3点目

〇市の対応

理由がわからずに、職員不在となれば、職場運営の面で良いことではありません。場合によって市民に影響を及ぼすかもしれません。4/26時点で、市は警察からの在籍照会で逮捕事実を知っていました。しかし、翌日の4/27に親族から別の理由で休むと連絡があった際、休暇取得理由が異なることを確認しませんでした。

民間企業であれば、顧問弁護士に依頼して、一般面会をさせるか、もしくは、会社の担当者が直接面会にいくこともあるようです。こういった事例への対応が難しいことは理解しますが、不祥事が続く中、危機管理の観点から、適切な初動対応ができなかったことになります。




4点目

5/17略式起訴、罰金納付により処分確定後を起訴休職ではなく、年次休暇で対応。




以上のことから6点伺います。
Q1
市が初動で事実確認をしなかったことをふまえて、

・市役所→
逮捕、警察から在籍照会があった時点から処分までのフローの確立など、だれが担当でも一定の対応ができるように市役所としての対応の目安となるものを作成すべきではないか。
 ・職員→
誤認逮捕が起こりえるという観点から、市役所への連絡手段として当番弁護士制度など職員がとるべき対応について周知が必要ではないか。


Q2
年次休暇取得の事後申請について、例えば、病院に行く場合や体調不良などでも程度によっては勤務時間開始前に連絡をすることができます。公共交通機関の遅延は遅延証明により対応しています。出勤途中の事故、自分で連絡ができないくらい体調がすぐれないなどの特別な場合を除き、勤務開始時間以降の年次休暇取得申請を原則として認めるべきではないと考えるが見解は?


Q3
「西宮市職員の職員処分に関する指針」では、非違行為として、「休暇等の虚偽申請」が明記されていますが、療養休暇、特別休暇等とあり、年次休暇は対象ではありません。事後申請による年次休暇取得の虚偽申請も指針に明記すべきではないか。


Q4
今後、略式起訴であっても、市としての処分が確定するまでは起訴休職で対応すべきではないか。




Q5
職員の分限処分、懲戒処分を決める職員分限懲戒審査委員会について、規程第3条第2項では、「委員は職員の中から市長が任命する。」とあるが、職員だけでなく、民間企業の経営者、弁護士などの法律的見識を持つ人物を委員にする、もしくは、意見を聞くなど外部視点、見解を取り入れるべきではないか。


Q6
これまで実施している対策が十分でないため、再発したとも考えられるが、更なる厳罰化など、今後の新たな対策は?


職員による不祥事事案から改めるべき点について②
に続きます。