渡辺けんじろう|西宮市議会議員|保育士経験を市政に|日本維新の会|(わたなべけんじろう)

学習塾講師など民間企業勤務や保育士を経て西宮市議会議員2期目です。

保育所等へのカメラ設置について①

静岡県裾野市(すその)の私立保育所において、保育士1人が暴行罪で逮捕、罰金20万円の略式命令が下された事例以降、不適切保育についての報道を目にすることが増えています。こども家庭庁の調査によると、令和4年4月~12月の期間、認定こども園を含む保育施設では、不適切な保育が1316件、うち122件が虐待として確認されています。



保育士の待遇や労働環境と関連付けをしている報道があります。また、保育士は子どもと遊んでいるだけみたいなことを耳にすることもありますので、保育士の仕事の一例をお伝えします。

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まず職員配置について。1歳児であれば、数字上、保育士1人で5人の子どもを保育します。保育士は1人の子どもと関わっているときでも、ほかの4人に意識を向けなければなりません。仮に子どものトイレなどで保育士が1人保育室からはなれると、1人で9人を見ることになります。1歳児は発語に差があるため、友達が使っている玩具を使いたい時に、その気持ちを噛みつきで表現することがあります。これ自体は悪いことではありません。しかし、我が子が噛まれたという事実に対して、どう反応するかは保護者によって異なります。また、屋外で活動するときには、特定の子供と遊んだり関わったりしながらも、子どもの人数確認など常に全体を意識します。



事務作業として、書類作成では、保護者への連絡ノート、子ども毎の毎月の指導計画、クラスの月の指導計画、週間の計画、保育日誌、ケガやケガにつながりそうになった一歩手前の事例を共有することで再発防止につなげるためのヒヤリハット避難訓練計画、会議録、園だよりの作成などがあります。

日々の保育の準備として、毎月の壁面掲示のための制作物では、同年齢でも月齢などにより発達に個人差があるため、それぞれの発達に応じた事前準備をします。行事があれば、行事計画や台本、大道具、衣装作成などもあります。掃除や消毒作業もあります。一方で、パソコンの台数が十分でないこともあります。



子どもが食後に寝ている時間(12:30~14:30頃)に、保育士はすることがなく休憩していると思っている方もいるようですが、労働基準法で定められている休憩や事務作業などの時間はその時間帯しかありません。1歳児10人だと保育士は2人。子どもが寝ている間も乳幼児突然死症候群防止のために、うち1人は5分~10分おきに子どもが呼吸しているかを確認します。では、もう1人が事務作業に専念できるかというと必ずしもそうでもありません。1歳児や0歳児はすぐ目を覚ますことがあります。当然、子どもの対応優先です。では、その場合に、いつ書類や事務作業をしたらよいのでしょうか・・・

このように保育士の仕事は多岐に渡ります。それにも関わらず、他業種比較では平均して低い給与です。



しかし、だからといって不適切な保育は許されるものではありません。

不適切保育への対策の一つに、カメラ設置があります。しかし、保護者がわが子への愛情のあまり、頻繁に見たいとリクエストがあり、その都度対応すると保育所の負担は過大になります。保育士にとっては、仕事を監視されることに抵抗があるかもしれません。一方、不適切保育への抑止や事後検証のツールとしてだけでなく、子どもが自分で転んでけがをしたにも関わらず、保護者が納得しない場合など、保育士の正当性を証明することができて、保育士を守るためのツールともなります。不適切保育の検証に使われた自治体もあります。



カメラですが、保育室の映像を回線等でつなぎ、玄関のモニターで保護者が常に見ることができるものから、録画機能のみで、一定期間が経過すればデータが上書きされる屋外の防犯カメラと同様のものもあります。録画機能のみのカメラ設置。確認する際は市役所が判断。市役所など第三者の立ち合いのもとに保護者と確認。保育所の負担は増えません。市役所の業務が増えるという見方に関してですが、不適切保育に関する相談は今でもあるため、その業務の一環にすぎません。保育士が監視されることについて、カメラが設置されている業種や職場は多々あります。

私自身もカメラ設置の保育所で勤務したことがありますが、開設当初から設置されている園で勤務する保育士にすれば、それが当然のことだと感じるのではないでしょうか。



不審者の侵入といった防犯機能の強化のためにカメラを設置する場合は国の交付金の対象となりますが、室内カメラは対象となりません。



茨城県守谷市では、市単独の制度として、「防犯カメラの設置費を補助することで、市内の私立幼稚園,保育所,地域型保育事業所の防犯機能拡大を図る」ことを目的とする「私立幼稚園等の防犯カメラの設置に関する補助金」があります。この制度は不審者対策の防犯カメラ設置だけでなく、室内カメラ設置も補助対象となります。確認したところ、カメラ設置自体は任意であるため、設置しないと明言した施設はありますが、昨年度、設置を希望した施設はすべて室内カメラも設置したとのことでした。


Q

本市においても、室内カメラ設置を希望する保育所等へ設置の補助制度を設けるべきではないか。見解を伺います。


保育所等へのカメラ設置について②
へ続きます。