
さて本題です。


の続きです。
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教員の長時間勤務が発生する原因の1つに、どれだけ長時間勤務してもその時間の超過勤務手当でなく、給料の4%分の教職調整額しか支給されないことがあると思います。これは「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」により決まっています。
なぜ、長時間勤務にも関わらず4%なのか。戦後間もないころ、教員の勤務時間の単純測定が困難ということで、給与が一般の公務員より有利になり、超過勤務手当が支給されなくなりました。その後、超過勤務手当がないにも関わらず超過勤務の実態が多くなり、手当の支給を求める訴訟が提起されました。
そして、昭和41年度に実施された全国的な勤務状況調査の結果、超過勤務時間は当時、
小学校で1時間20分、中学校2時間30分です。これは1日平均でなく1週間平均です。この時間分の超過勤務手当に相当する額が給与の4%でした。いまだに昭和41年の実態が適応されています。
これを昨年度の実質的な超過勤務時間の1 日あたりの時間2時間56分を当てはめると8倍の32%ほどになります。これは法律で定められているため、国レベルで変える必要があります。
一方、市独自でできる取組みもあります。
新聞報道によると、
・静岡市では来年度からの実施に向けて、部活動の日数上限を週4日とする指針案を公表
・福井市では4月の人事異動直後の多忙さに配慮して、夏休みを減らして春休みを増やすことで1学期の始業日を来年度から遅らせる
・北九州市では2013年から全公立校で教員の出退勤時間を管理するICカードを導入し、教員の在校時間の短縮に一定の効果がある
・また、今回の一般質問を作成していると、タイミング良く長野市の公立小学校で指紋認証のタイムカードが導入されたことがテレビで取り上げられていました。東京都、熊本県で時間管理のシステムが導入される方針です。
大分県の公立中学校での事例ですが、
西日本新聞(2017.08.21)
https://www.nishinippon.co.jp/feature/attention/article/369964/
サイトからの引用です。
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教員の負担減試行錯誤 過労死の大分・公立中教諭 残業110時間超PCに記録
教員の長時間労働が深刻化している。「脱ゆとり」に伴う学習指導要領の改定で授業時間が増え、部活動指導や事務作業の負担が重くなっている。九州では、2014年に大分県内の公立中学校内で倒れた後に死亡した女性教諭=当時(46)=が6月、民間の労災に当たる公務災害に認定された。教員の「働き方改革」について、文部科学省は年内にも緊急対策を打ち出す方針だ。各地の学校現場でも試行錯誤が始まっている。
「これは私が働いた証しだから。もし、私に何かあったら使って」。大分県北部の中学校で14年7月、職員室で意識を失って亡くなった女性教諭は生前、同僚だった男性教諭にそう告げ、パソコンに勤務記録を残していた。
国語と書写を教え、バレーボール部の顧問を務めていた。県教育委員会が任命する学力向上支援教員。模範的な授業を通じて全国学力テストなどの成績の底上げを図る指導的立場で、自分の授業だけでなく、研修会など多忙を極めていた。実家から学校に通い、地域の行事にも積極的に参加していたという。
亡くなる直前3カ月の時間外勤務(残業)は114時間、112時間、115時間。厚生労働省がおおむね月80時間超を目安と定める「過労死ライン」を優に超えていた。
「責任感が強い人だった。愚痴をこぼしたりするのを見たことがない。働きすぎを実感していてSOSを出していたのか…」。男性教諭は唇をかむ。 県教職員組合は「部活動を受け持つ教員なら珍しくない(残業時間の)数字。裏返せば、過労死は誰にも起こり得る」と指摘する。
文科省の16年度の調査では、校内勤務時間が週60時間以上の教諭は、小学校33・5%、中学校57・7%に上った。女性教諭の父親(84)は「まじめな子だった。娘の死を無駄にしないよう、先生たちの負担が少しでも軽くなるようにお願いしたい」と訴えている。
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本市でもタイムカードのような出退勤管理はされていません。人の命に関わることは何か起きてからでは遅いということは言う間でもありません。 持ち帰り件数の推移だけでなく、正確な勤務実態の把握による効果検証を行うなど成果が見えるように、また、市が独自でできる取組みは独自で進めてください。