
神奈川県大和市にある「シリウス」という、図書館とホール等の複合施設と、今年度の常任委員会管外視察の際、休憩時間を活用して、神奈川県海老名市にある民間企業が運営する図書館を訪れました。学ぶことは複数ありましたが、そこから本市で取り入れることができる内容をとりあげます。
この2つの図書館に共通していたのがセルフ貸出機の設置です。現金操作がないスーパーのセルフレジをイメージすればわかりやすいかと思います。近隣では豊中市立図書館にセルフ貸出機、返却機等が設置されています。
窓口での職員対応と機械による貸出で、どのくらい利用件数が違うのか豊中市に確認しました。セルフ貸出機、返却機、また、他の図書館から取り寄せた本の貸出も対応できる機械を設置している図書館では、総貸出数に占める自動貸出による貸出冊数の割合は97%です。セルフ貸出機のみ設置している図書館では、他の図書館から取り寄せた予約貸出冊数を除くと平均して77%の割合でセルフ貸出機が利用されています。
カードと本を機械にかざす簡単な操作なので、年齢に関わらずセルフ貸出機が利用されているとのことでした。つまり、窓口での職員対応よりも、機械を使って借りたい利用者が多いということです。
さて、気になる費用ですが、
豊中市ではセルフ貸出機が計20台、セルフ返却機が計3台、その他の機械を含めて計26台が設置されています。5年契約で、設置費、維持費を合わせて年間では約2,800万円、一台あたりの年間コストは約108万円です。機械であれば、勤務時間関係なく、開館時間中対応できます。人件費と比較しても決して高額でなく、貸出カウンターに人を配置するよりも効率が良いとも言えます。豊中市では機械を導入したことにより、カウンターの配置人数を削減し、図書館の開館日を増やすといった市民サービスの向上につなげています。セルフ貸出機等の設置は効率化だけでなく、市民サービスの向上につながります。
続いて、資料をご覧ください。中央図書館と利用数が多い北口図書館の月別の利用状況及び月別の利用数をその月の会館日数で割った1日平均の利用状況です。

利用数は1月と学校が夏休みの8月が多く、それと比べて、4月、11月、12月の利用数が少なくなっています。しかし、利用件数の多い月、少ない月に関係なく、一律に毎週月曜日が図書館の閉館日です。セルフ貸出機等を導入し、職員配置を見直すことで開館日を増やす方法がありますが、この場合、予算が必要です。しかし、利用数の少ない月の開館日を減らして、減らした分、利用数が多い1月や8月の開館日を増やせば、追加費用は不要です。
また、図書館の閉館日は全館月曜日であるため、仕事の休日が月曜日である人など月曜日に利用したい人は、どの図書館も利用できない状況です。伊丹市や豊中市では、図書館によって閉館曜日を変えており、どの曜日でもどこかの図書館を利用することができます。
以上を踏まえて、市民サービス向上という観点から3点伺います。
【Q】
セルフ貸出機等を設置すべきではないか。
【A】
セルフ貸出機などの導入につきましては、利用者の利便性が向上するだけでなく、職員の業務負担が軽減されるため、レファレンスサービスなどの各種サービスを充実させることが期待できると考えております。 しかしながら、導入につきましては、新たな財源が必要になることから、先進市の導入事例及び費用対効果などを調査した上で検討してまいります。
【Q】
利用件数が多い月の開館日を増やすべきではないか。
【Q】
月曜日一斉休館を見直すべきではないか。
【A】
図書館では、長年にわたり毎週月曜日と毎月第1木曜日を定例の休館日としてまいりましたが、休館日の設定については、市民生活の多様化に伴い、様々なご要望をいただいております。このような市民ニーズに応えていくには、現行の休館日を減らす方向での見直しが必要と考えておりますが、人員の確保や、新たに生じる経費の財源確保が課題となってまいります。従いまして、教育委員会としましては、今年度より着手しました図書館の組織及び運営の見直しに取組む中で、休館日を減らすことができないか検討してまいります。
【意見・要望】
「図書館の組織及び運営の見直しに取り組む中で、休館日を減らすことができないか検討」するとの答弁でした。休館日を減らすことも、他市事例で8割近い利用実績があるセルフ貸出機等の設置も、市民サービスの向上につながりますので、実施に向けて検討よろしくお願いします。