

マニュアル化できるということは訓練をすれば誰でも実施できる業務ということであり、必ずしも直営でする必要はないと感じました。民間委託をすると情報漏えいのリスクが高まるという声もありますが、正規職員が他人の戸籍台帳を勝手に見たという事例が報道されたこともあり、一概にあてはまらないと思います。以下は視察内容の概要です。
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〇民間委託導入にいたった経緯
市民サービスの充実という市長の選挙公約にもとづいて取り組みがスタートした。これまでイスがなくハイカウンターで立ったまま対応しており、待合スペースの拡充の必要があった。
〇これまでの取り組み
・平成24年 総合窓口運用開始
・平成25年 フロア案内業務、市民総合窓口業務(証明発行、住民異動、戸籍届出等)を委託開始
→公募型プロポーザルを実施して9社が応募。うち4社が二次審査のプレゼンを実施し、フジゼロックスシステムサービスが委託業者に決定。この業者は他市でも窓口業務を請け負っているが、窓口業務も各市により仕様が異なり、海老名市の仕様となっている。
・平成26年7月 電話交換業務
・平成26年11月 福祉総合窓口業務委託開始
→これまで他市で福祉窓口の包括的業務委託の事例がなかったため、福祉業務の洗い出しを行い、5課で72業務を委託。239項目のマニュアルを作成。
・組合や議会から大きな反対はなかった。
・当初の契約期間は平成25年7月~28年7月の3年間であった。更新時も公募型プロポーザルを実施。2社の応募があったが、1社が辞退。仕様書に基づいて業務を実施している契約業者が有利になる傾向があり。
・窓口発行以外に市役所にある自動交付機が8時~21時半で約4割、1割が市内の駅にある連絡所で発行されている。来年度からコンビニ交付が開始予定。
〇委託業者の職員
・責任者(正社員)が市民窓口2名、福祉窓口1名と契約社員とパートで合計市民窓口31名、福祉26名の委託業者の従業員がいる。繁忙期は本部からの応援体制あり。繁忙期でも常に一定のサービスが提供できるメリットがあり。
・個人情報漏えい防止、守秘義務のために従業員1人1人と誓約書及びセキュリティ対策として手のひらの静脈認証システム導入している。
・委託業者の授業員教育・訓練は委託業者が行っている。
・福祉窓口は問題発生のたびに打ち合わせており、現在は月1回程度打ち合わせをしている。
〇市職員の人数及び費用額
市民総合窓口業務
・職員数
正規職員20名(ほかに再任用、臨時職員13名)
→委託開始時8名(現在はマイナンバー等業務増加のため15名体制)
・費用
218,149千円
→162,869円(正規人件費+委託費)
福祉総合窓口業務
・職員数
委託前 正職員121名
→委託開始時114名
・費用
92,685千円
→73,483千円
※費用以外に職員がこれまで行っていた単純業務が省略されたことにより、他の業務に集中できるようになった時間外削減効果もあり。
〇これまで発生した課題やそれに対する対策
・職員の座席のゾーニングにより市役所の職員と委託業者を区分け。
・偽装請負対策-責任者同士の協議は可、その場で職員に対する指揮命令は不可。
・窓口業務-どういう内容かを聞き取り票に記入。
→単純手続きは委託業者が対応し、相談業務は市職員が対応する。
・国明健康保険-収納業務は職員が対応し、説明、計算は委託業者が行う。
・税の収納業務は別フロアで職員が対応する。
今後、市として大きな委託の予定はない。指定管理を広げる予定。
〇デメリット
・戸籍発行の際に職員の確認するため、市職員が発行して渡すよりも若干時間がかかる場合がある。
・偽装請負になるため職員が窓口で直接来庁者と対応できない。
・クレーム対応が二段階となる。
・職員のスキルの低下-他部署へ異動の際の職員の対応力が身につかない。それを補うための研修ができてない
・月2日は土曜日も業務を実施しているので、職員が代休を取得しづらい。=市民サービスを優先している。