
人口知能(artificial intelligence、以下AI)がこれまで人間にしかできない領域を脅かすのかというと、今のところ、大きな影響はなさそうに感じましたが、将来的な可能性やその可能性が及ぼす世界への影響に恐ろしさも感じました。どちらにしろ人間の道徳観次第です。
AIで東大に合格させるプロジェクトがあったのですが、
〇AIの偏差値は57なので、8割くらいの私立文系であれば合格できる。
〇理解してなくてもAIの偏差値が57ということは、多くの平均的な受験生が問題を理解していないのではないか。AIの開発に力を注ぐよりも、次世代の育成の方が優先されるべき 。
〇ロボットは東大の 2次試験の難しい数学は4/6問解けるが、センターレベルの問題で得点ができず、東大合格はセンターの得点が足らず合格が難しい。
〇AIはパターンマッチングで問題を解くので、文章や問題文を理解していない。
〇現在の大学入試は漢字やスペルの問題が出題されるが、現在はPCやスマホとともにある時代なので、わからなければその場で調べれば良く出題傾向が時代にあっていない。
以下は講演のメモです。
〇人口知能とは
明確な定義はない。
工学的目標→人間のような知性を持った人工物を作ること。
科学的な目標→コンピューターを題材にして、知能について研究すること。
〇人間にできて機械にできないことを機械にできるようにする研究であるが、機械でできるようになったら人口知能ではなくなる。
→かって、かな漢字変換もAIであった。
〇現在のAIは3回目のブームである。過去にも2回あったが、ブームとして消えていった。
〇スマホの音声応対、乗り換え案内、通販サイトにおける購入・閲覧履歴をもとにしたおすすめ商品、ロボット掃除もAIを活用していた。
〇自動運転では、一般的な運転技術のドライバーよりも、自己発生率は低いであろうというレベルであるが、事故の際、責任の所在が車の所有者なのか、車メーカーなのかという課題がある。
〇AIは機械的に学習するだけでなく、学習の結果として知的なふるまいができる。
〇将棋や囲碁など限られた領域ではCP(コンピューター)が創造をはじめて、創造性を持つようになっている。人間より強くなり、若手はCP将棋を見て学んでいる。プロがCP将棋と対戦した際、最初は間違った手だと思ったが、終盤で不利になり、最後にそれが新手であるとわかったように、プロが見ても理解できない手を打つ。
〇ある小説の賞に人間と共同で創造した短編小説を応募したら、一次審査は通過した。
〇2045年に人間を超えるか?
→現在は人間のデータから学習しているが、データを蓄積するとデータから学習するようになるため、いずれ人間のデータが参考にならなくなって不要となる。CP将棋同志で沢山将棋をして独自データを作り、人間には理解できない高いレベルの将棋を指すかもしれない。そうなると、道具として使いづらくなる。
= シンギュラリティ―(技術的特異点)が訪れる。
〇人が車にかなわないように、体力で負けることはあったが、知性で負けることを人間はこれまで歴史上で経験していない。
〇教育分野におけるAIの可能性
・人間としての客観的な能力評価ができる。
・大学の講義は教授ではなく、学生の理解度や関心をAIが判断して、適切なeラーニングを進めるなどもあり得る。
〇共存のためには
AIは人間の意思決定支援をして、最後は人間が決定する。AIは特定の領域に関しては得意であるが、人間は枠を超えて行動できる。