渡辺けんじろう|西宮市議会議員|保育士経験を市政に|日本維新の会|(わたなべけんじろう)

学習塾講師など民間企業勤務や保育士を経て西宮市議会議員2期目です。

大学生の不在者投票

<前回>の続き

から切り替えて、本筋に戻ります。学生が遠方の大学に進学する際、住民票を異動していないと耳にするので、「不在者投票は制度として利用しづらいですよ。投票するために、大学生になったら住民票を異動する必要性を高校生の時に伝えるべきではないですか」という趣旨で質問をしました。その前提として、住民票を実家においたまま遠方に進学することについて、市の正式な見解を確認しました。

18歳選挙権スタートにともない、大学生に不在者投票をすすめる報道をよく目にします。候補者は居住実態がなければ、当選無効になります。居住実態のない実家に住民票をおいたまま、不在者投票をすることも問題ではないのかと調べるうちに感じました。場合によっては、不正投票につながりかねません。


選挙管理委員会
⇒選挙出前授業で「今後は、住民票と選挙権との関連性についての説明も加えて、住民票に対する意識付けを行ってまいります。」 

教育委員会

⇒これからも通知があるなしに関わらず、「主体的かつ自立した社会の形成者を育てるためにも、今後も進路指導などで、住民票を異動することの意味やその重要性を伝えてまいります。」
共に前向きな答弁を引き出しました。今後、決算・予算特別委員会で進捗を確認します。 

以下は全文です。
公職選挙法の改正により、国政選挙では、7月10日投票日の参議院選挙から18歳、19歳が選挙権を持ち、全国では有権者全体の約2%にあたる約240万人、西宮市内においては約9,600人が新たに有権者となります。それにともない、西宮市において、教育委員会選挙管理委員会ともに学校現場で主権者教育や出前授業などの取組を行っています。文科省が今年4~5月に実施した調査では、全国の国私立高校の94%にあたる5,966校において、第3学年以上で主権者教育が昨年度、実施されたそうです。今年度、第一学年では90.8%、第2学年では92.3%、第3学年では96.4%で実施するとの調査内容となっています。一過性のものでなく、継続して取り組まれるべきものです。

話は変わりますが、昨年度の市議会議員選挙の投票率は過去最低の36.27%でした。20歳~24歳の投票率は27.2%で、25歳~29歳の18.6%や35歳~39歳の24.3%よりも高いという傾向がみられます。私は社会問題や政治に関して高い関心を持つ大学生は多いと感じます。そのため、大学生を含む20歳~24歳の投票率のこの傾向は理解できます。
投票率

一方で、遠距離の大学に進学した場合、住民票を異動していないことも耳にします。6月19日の神戸新聞朝刊において、親元を離れて進学した大学生で、住民票を異動していた割合は26%という東京都の明るい選挙推進協会の調査が紙面に掲載されていました。 また、その新聞記事では、神戸市の選管の話として、「有権者が実態としてどこに住んでいるか把握できないので、帰省投票や不在者投票を拒めない」が「市内に生活実態がなく、投票資格が怪しい人に市内での投票を勧められない」とありました。生活実態がない場所での投票が有効かということだけでなく、住んでいない場所では候補者の主張を聞いたり、地域の課題を把握することは難しいでしょう。 選挙権を得て最初の選挙で投票することが、その後、継続して投票する習慣につながる傾向があることから、遠距離に進学する際には、住民票を異動することの必要性をしっかりと伝えるべきであると考えます。 以上のことから3点伺います。


<質問>
学生が遠方の大学進学の際に、実家を離れて住民票を異動せずに、住民票と異なる住所で居住することについて、市としての基本的な見解をうかがいます。


<答弁・選挙管理委員会

 
投票率について」のご質問のうち、居住地と住民票の住所の届出に関する基本的な考え方について、お答えします。 新たに別の市町村に住所を定めたときは、転出・転入届を、同じ市町村内で住所を変更したときは、転居届を市町村長に届け出ていただくことになっています。 この場合の住所ですが、一般的には、その場所を生活の本拠とする意思と、その場所に住んでいる、という事実により決めるべきものとされています。 学生に関しましては、お住まいの場所が実家に近く、休暇以外にもしばしば帰宅する等、特段の事情のある場合を除き、実際に居住されている場所を住所として取り扱うこと、とされております。従いまして、ご質問の「実家を離れ、遠方にお住まいになっている学生」につきましては、原則として、住民票の住所の異動手続をしていただくべきものと考えております。


<質問>
現在、公立高校で使用している副教材として「私たちが拓く未来」があります。この中でも住民票異動について触れていますが、太字になっているわけでもなく、目立たないので、授業内で解説をしなければ生徒に伝わりません。平成28年2月17日付、2月29日付の総務省の依頼文を経て、教育委員会として各高等学校長充てに事務連絡をしていますが、第3学年の生徒が卒業するまでにその内容を周知する時間が十分ではありませんでした。今後、依頼文がある、なしに関わらず、市として独自に住民票を異動することの必要性を周知すべきです。

主権者教育と関連して、住民票を異動する必要性を周知するために選挙管理委員会はどのように取り組んでいますか。また、教育委員会ではどのように取り組んでいますか。


<答弁・選挙管理委員会
昨年6月の公職選挙法の改正により、 選挙権年齢が18歳以上に引き下げられました。 法改正に伴いまして、選挙管理委員会では、 県選管とも連携し、市内の高等学校に出向き、 3月には市立西宮高校と市立西宮東高校、 5月には県立西宮高等学校と、 高校生を対象に、順次、 選挙出前授業を実施しております。選挙出前授業では、 選挙の仕組み、意義、重要性などについて説明し、 政治に関心を持ってもらい、投票行動につながるよう、講演を行っております。 今後は、住民票と選挙権との関連性についての説明も加えまして、住民票に対する意識付けを行ってまいります。 

<答弁・教育長>

市立高校では、文部科学省が作成した高校生向け副教材「私たちが拓く未来」を活用して主権者教育に取り組んでいます。転居した際に、住民票の異動が必要であることは、この副教材を通して学習したり、公民科の授業で取りあげたりしています。 市立高校においても、高校卒業後の進学などを機に保護者の元を離れ転居をする生徒たちは一定数おります。 高校卒業は生活面においても自立を促す節目と捉えています。主体的かつ自立した社会の形成者を育てるためにも、今後も進路指導などで、住民票を異動することの意味やその重要性を伝えてまいります。 


<質問>
東京新聞が昨年7月に行った調査によると、高校生のスマホ所持率は89.9%でした。気になったことをインターネットですぐに調べることができる利便性の反面、インターネットにのっている個人の意見を真実であるかのようにとらえる危険性もあります。また、報道機関によって、同じ事例でも捉え方や主張が異なります。信頼性がある複数の情報源からの情報収集、考えが異なる意見の比較など、多面的に考えることで正しく適切な情報をみつける力、つまり情報リテラシーがこれからの社会では必須となります。市立高校において、主権者教育と連動した形で「情報リテラシー」をどのように育んでいますか。


<答弁> 
ご指摘のとおり、これからの時代は、情報手段の適切な活用を含め、情報を主体的に収集・判断・発信するなどのいわゆる情報リテラシーを身につけることが重要となってきます。本市においては、情報を主体的に活用する力を子供の発達段階に応じて育むことを目指しています。

小学校では、国語の授業の中で新聞の記事を読み比べ、異なる意見に対して自分の考えをまとめたり、中学校では、インターネットで情報を集めたり、 データを集計、整理して、その傾向や特徴を考えたりします。市立高校では、このような小・中学校における学びと「公民科」の学習指導要領の留意点を踏まえ、主権者教育に取り組んでいます。たとえば選挙を取り扱う授業においては、各新聞社の論説を比較し、各政党の主張について多様な見方があることを学びます。また、ディベートで、自信を持って討議するためには、自分が収集した情報の信頼性がいかに重要であるかを学んでいます。 さらに、情報モラルの必要性や情報に対する責任、望ましい情報社会の在り方については、「情報」の授業でも指導しています。これからも各種の教育活動を通じて、情報リテラシーを高め、主体的に社会に参画できる主権者の育成に努めてまいります。

<続く・・・>