本市の現在の財政状況について、2点質問いたします。
1点目が基金についてです。
普通会計ベースで作成された決算カードによると、財政基金、減債基金、特定目的基金を合計した基金残高は
平成5年度が約208億円
平成26年度が約261億円となっています。
標準財政規模に占める比率は
H5年度が24.4%、
H26年度が26.9%です。
別紙を参照ください。財政基金の適正額は標準財政規模の10%が適切であるとする他の地方公共団体がありますが、本市ではH26年度末では、残高約184億円、割合は18.9%となっています。過去の議会答弁によると、「目標額は震災前の約200億円前後を1つの目安にしてもよいのではないか」とあります。しかし、震災前のH5年度とは税の仕組みや経済状況など市の状況が違うため、この金額は明確な根拠とは言えません。
近年の財政調整基金の積立額ですが、H26年度は約22億5千万円を積立てた一方で、一般財源の不足に充当するために18億円を取り崩しました。H25年度は約33億円、H24年度は20億円、H23年度は23億円となっており、ここ数年は20億円近い額を財政調整基金に積立てています。
昨年度、修繕や改修が今後、必要となる公共施設のために、西宮市公共施設保全積立基金条例が制定され、老朽化した公共施設維持のための基金は別枠で確保されることとなります。
基金残高が豊富にあるから、市民サービスを更に充実させるべきだという意見や、将来世代への負担を考えてできるだけ積み立てるべきだという、あい反する意見もあります。
1点目、お尋ねします。来年度以降、第二庁舎建設の計画等ありますが、今後、基金を大きくとり崩すような要因が発生すると考えているのでしょうか。また、財政基金、基金残高の適正額、今後の見通しについてお聞かせください。

2点目が臨時財政対策債についてです。なお臨時財政対策債は以降、臨財債と省略させていただきます。総務省のHPによると、臨財債とは「地方財政収支の不足額を補てんするため、各地方公共団体が特例として起こしてきた地方債です。その元利償還金相当額については、全額を後年度地方交付税の基準財政需要額に算入することとされ、各地方公共団体の財政運営に支障が生ずることのないよう措置されています。したがって、臨財債の増発によって、各地方公共団体の財政の健全性が損なわれることはありません。」とされています。
当初H13年度より、3年間の臨時的措置として導入されましたが、H28年度まで延長されています。資料の裏の3をごらんください。本市において財政構造の弾力性をあらわす、経常収支比率はH26年度、94.3%ですが、臨財債を歳入から除き算定すると、数値は102.0%と財政が硬直化した状態になります。このように臨財債は現在の地方交付税算定の仕組み上、本市において不可欠な歳入であります。
一方で臨財債は国が地方に渡す交付税の財源不足を補うために、市が肩代わりしている借金であるという側面もあります。発行の翌年度以降も、国の交付税原資不足は解消されず、臨財債の発行可能額が増えて、繰り返し臨財債を起債するというスパイラルになっています。
資料裏の2をご覧ください。歳入において地方交付税の額はH22年度をピークに減少する一方、臨財債の発行額はH23年度以降、ほぼ横ばいとなっており、H17年度では、地方交付税:(対)臨財債の比率は2:1でしたが、H26年度は、ほぼ1:1となっています。また、財務状態をあらわすバランスシートにおいて、インフラや建物等を建設する市債は、負債として計上されるのと同時に、インフラ、建物が資産として計上されますが、臨財債は負債として計上されるだけという点からも望ましいとは言えません。
2点目の質問です。臨財債は発行額でなく、国が定めた発行可能額をもとに、交付税算定されるため、満額発行する必要はありません。H26年度はアサヒビール西宮工場跡地取得のような事業もあり、満額発行となりました。しかし、H24.25年度は満額発行していません。今後も、大型の事業が想定されない年度であれば、H24.25年度のように発行額の抑制が可能ではないでしょうか。

【答弁】
1番目の「財政状況について」のうち、「基金について」のご質問にお答えします。
まず、「財政基金を大きく取り崩す要因」と「基金残高の今後の見通しについて」でございますが、今後、社会保障関連経費のみならず、公共施設の老朽化対策などに要する経費が増大するほか、多くの行政課題に取り組む必要性から、厳しい財政運営を強いられることが想定されております。昨年12月にお示しした第4次総合計画後期財政フレームをもとに後期事業計画に掲げた事業を実施した場合、毎年度、多額の財源不足が生じ、その結果、平成30年度末の財政・減債両基金の残高は約98億円にまで減少するものと試算しております。
また、「基金残高の適正額」の考え方につきましては、その時の社会情勢や今後の財政状況によって変わっていくものであります。したがいまして、金額や指標としてはっきりとお示しするのは難しいところでございますが、第4次総合計画期間終了後の平成31年度以降も、必要な事業を行うために多額の財源を要することが予測されることから、今後も、利用予定のない市有地の売却などによる財源確保に努め、極力、現在の基金残高を維持してまいりたいと考えております。
「財政状況について」のうち、「臨時財政対策債について」のご質問にお答えします。
先ほどの市長の答弁でもございましたように、今後、厳しい財政運営が続くものと想定されております。このため、臨時財政対策債も貴重な財源として、国から示された発行可能額を満額発行することが前提になるものと考えております。 しかしながら、平成24年度、25年度の例のように、各年度の決算収支見込において、多額の実質収支の黒字が確保できる見込みとなった場合は、次年度以降の財政状況を勘案しつつ、将来の財政負担を軽減する観点から、臨時財政対策債を含めた市債全体の発行を抑制することも考えられます。
この数年、国・地方の財政状況が厳しいことから、臨時財政対策債への振替額が高止まりしている状況でございますが、臨時財政対策債の制度は負担の先送りであり、持続可能な制度と言い難いことから、国に対しては全国市長会などを通じて法定率の引き上げなどにより地方交付税の財源確保を図るよう、引き続き要望してまいります。