渡辺けんじろう|西宮市議会議員|保育士経験を市政に|日本維新の会|(わたなべけんじろう)

学習塾講師など民間企業勤務や保育士を経て西宮市議会議員2期目です。

令和7年度西宮市一般会計予算に日本維新の会 西宮市議団は反対→否決となりました。

本日は3月議会の最終日。来年度、令和7年度は西宮市政施行100周年となる年度ではありますが、日本維新の会 西宮市議団は下記の理由で令和7年度西宮市一般会計予算に反対しました。そして、来年度予算は賛成少数で否決されました。様々なご意見があるとは思いますが、会派内で何度も話を重ねて考え抜いた末の判断です。

今後、3/26に臨時会が開催されます。そこで各会派から指摘された事項に関連する予算を除いた修正予算を審議することになります。

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日本維新の会 西宮市議団は、議案第305号令和7年度西宮市一般会計予算に反対します。以下、意見を述べます。

本市の実質単年度収支は平成30年度から令和5年度の間、4回赤字でした。残り2回の決算は、
〇統合病院用地の買収費用が公社から返還されたことによる臨時収入があったこと
〇コロナ禍に国県支出金の超過交付額が多額に及んだこと、地方交付税が手厚く交付されたこと
などの特殊要因による黒字であり、そういった要因を除くと実質的には6年連続赤字が続いています。

令和6年度当初予算では財政基金、減債基金から一般会計への繰入が約73億円、令和7年度当初予算では約46億円の繰入を前提とする予算編成になっています。この基金ですが、今後の収支見通しによると、令和9年度末には残高が枯渇する見込みとなっており、近い将来、予算編成に大きな支障が生じることが危惧されます。

この財政状況を踏まえて作成された西宮市財政構造改善実施計画(以後、計画)では、令和6年度から令和10年度までの5年間で、財政基金取崩しに依存しない財政体質の確立に向けて、実質単年度収支の均衡を保つことを目指し、単年度で 40億円以上の収支改善及び令和11年度からの実質単年度収支均衡を目標としています。計画には財政悪化の要因と財政構造の課題として、経常収支比率(経常的な収入に占める固定的な支出の割合)の高さが記載されています。

令和4年度、本市の経常収支比率は96.6%です。
類似都市である中核市平均92.0%より4.6ポイント高くなっています。例年の傾向としても中核市平均より数ポイント高くなっています。

中でも人件費の比率は
本市が32.5%
中核市平均が 24.0%
と圧倒的に高く、経常収支比率を押し上げる要因となっています。このことは議場の皆様もご存じのことと思います。そのため、計画では人件費の抑制について、給与水準の適性化により、令和11年度時点で単年度約6.7億円の収支改善を見込んでいます。

一方、今定例会では、人事院勧告にともなう給与改定分として、その6.7億円以上の金額、約9.3億円が補正予算として当初計上されようとしていました。これが今後も続けば、人件費は積みあがっていきます。しかし、計画では、給与改定の影響は単年度分しか考慮されていません。   

給与改定の財源ですが、令和6年度分は追加措置された地方交付税がありました。この令和6年度分は令和7年度以降、国における地方財政計画の中で標準的な給与費として措置されることとなっています。また、令和7年の人事院勧告に基づく給与改定に備えて、国において、すでに地方財政計画に計上されています。つまり、追加で給与改定をする場合、財源として財政基金等を取り崩すことになります。

予算編成に必要とする基金の枯渇を防ぐために財政構造改善に取り組んでいるにもかかわらず、その要因である人件費を増やすために基金を取り崩して財源とすることは、計画との整合性が全くありません。

また令和6年度、追加措置された交付税のうち給与改定費とされている金額は約7億円ですが、補正予算における当初の金額は約9.3億円であり、財源以上に人件費を増やそうとしていました。仮に、当該年度に関して財源があるというのであれば、人事院勧告の趣旨とは異なるかもしれませんが、全て単年度限定の期末手当として支給するという手法もあります。

給与水準の適性化について、国や近隣他都市との均衡をとりさえすれば、十分だと考えているようですが、55歳以上の昇給停止や住居手当の見直しなど、かつて国の制度がかわってから長年手を付けてない制度もあり、均衡をとることさえ、これまで適切な時期に実施されませんでした。

また、来年度予算にはアプリの開発、一部の観光事業など、優先度の低い事業、効果の低い事業、そして一度はじめたからということで漫然と続く事業が存在します。





特殊な要因を除けば実質単年度収支が6年連続赤字状態。





全国でも類をみない財政状況であることに対する危機感はどこまで共有されているのでしょうか。





その自覚はあるのでしょうか。





そして、市政施行100年にして初めて当初予算が否決される見込みであることをどのように感じているのでしょうか。





地方自治法には、地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとあります。

国や他市との均衡というのであれば、住民福祉の増進の観点から、全国ワースト2位の待機児童数の改善、学校のトイレ様式化など他市よりも遅れている施策の改善を並行して実施すべきです。それすらできていないにもかかわらず、人事院勧告を絶対的なものとして均衡という名のものに、すべての職員を対象として、財政悪化の要因である人件費をさらに増額する。一方で市民サービスは均衡という名のもとに削減する。



そこには地方自治法にある自主性を全く感じません。



まず市が自らを徹底して改革する。

それでも財源が足らないから市民の皆様にお願いする。

これが適切な順番です。


以上、討論とします。