民生常任委員会で審議された「年金制度における外国人への脱退一時金の是正に関する意見書提出を求める請願」という請願。
外国人への脱退一時金については、以前、国会を訪問した際に担当者と意見交換をしました。仕事で入管手続きに関わっている方からも実態を聞きました。
請願に記載されていた
「同制度は再入国を妨げていない」
「永続的に帰国する前提であるという制度の趣旨」
この2つの表現に矛盾を感じたので、法律等への記載などエビデンスがあるか委員会で確認したところ、提出者から明確な回答はありませんでした。
グローバル企業の社員が日本に赴任→帰国→再赴任
ということもあるでしょう。
国内の労働力不足を補うために外国人技能実習制度がある昨今、この制度により日本で働くために再入国する外国人もいます。
請願事項に記載されている「永続的に帰国する前提」=「日本に来た外国人が二度と来ない」という表現が昨今の情勢と合わないため、請願には反対しました。
「永続的に帰国する前提であるという制度の趣旨」という表現が今の社会情勢にあったものであれば、結果は違ったかもしれません。
※一部修正しました
なお賛成少数のため、西宮市議会として意見書提出はありません。
②以下は委員会で述べた反対です。
===============
国民年金や厚生年金保険(共済組合等を含む)の脱退一時金は、日本国籍を有しない方々が日本を出国する際に、特定の条件下で請求することができる制度です。この制度は、特に10年の加入期間を満たせずに年金受給権を得られない外国人労働者の事情を考慮して設けられています。
令和3年度には9万6千件、過去10年間で累計72万件以上の脱退一時金の申請がありましたが、この増加は、日本国内での外国人労働者の数が増えていることを反映しています。 しかし、実際には、帰国にともない一時金を受け取った後に日本に再入国し、再度就労する外国人も少なくありません。
請願で提起された脱退一時金制度の問題は重要であり、制度の見直しの必要性があることは認識しています。しかし、請願が求める「永続的に帰国する前提」の制度趣旨は、グローバル化した現代の労働市場や人々の流動性を考慮すると、現実と合っていないと思われます。労働市場の変化や国際的な人の動きを反映した、より適応性の高い対応策が必要だと考えます。
また、政府は、脱退一時金制度を含む年金制度全体の公平性と持続可能性を確保するために、広範な観点から検討を進める必要があるとしています。 したがって、提出された請願に対しては、その趣旨を理解しつつも、現実の労働市場の状況と国際社会の動向を踏まえた上で、不採択とします。
==============
③最後に、画像では読みにくい方のために請願の本文です。
==============
年金制度における外国人への脱退一時金の是正に関する意見書提出を求める請願
請願趣旨
国民年金や厚生年金保険(共済組合等を含む)の被保険者(組合員等)で日本国籍を有しない方が日本を出国する際は、脱退一時金を請求することができます。昨今、脱退一時金の裁定件数は増加傾向にあり、令和3年度は9万6千件に達し、過去10年の累計は 72万件を超えています。年金を受給するためには最低10年間の加入期間が必要ですが、10年を満たすことができず受給権を得られない、外国の方々に特有の事情を踏まえて例外的に脱退一時金の制度は設けられています。
しかし、同制度は再入国を妨げていないため、のちに日本において再度就労することができます。
入国時には就労ビザや留学ビザであっても、やがては永住資格などの申請を行うことができるようになっており、永住資格を持つ外国人であっても、脱退一時金の申請を妨げる ようにはなっていません。
日本人は基本的に公的年金を脱退することはできず、特に派遣労働者が雇止めになった等の場合に、生活に及ぼす影響に大きな差が生じるなど、国民が強い不公平感を抱く状況となっています。
請願事項
脱退一時金を請求した方は、永続的に帰国する前提であるという制度の趣旨に立ち返り、政府において必要な実態把握を行い、在留資格に関する議論の進捗も踏まえながら次期年金制度の改正に向けて必要な検討を行うよう強く要請する意見書を、地方自治法第99条 の規定により提出していただきますようお願いいたします。
外国人への脱退一時金については、以前、国会を訪問した際に担当者と意見交換をしました。仕事で入管手続きに関わっている方からも実態を聞きました。
請願に記載されていた
「同制度は再入国を妨げていない」
「永続的に帰国する前提であるという制度の趣旨」
この2つの表現に矛盾を感じたので、法律等への記載などエビデンスがあるか委員会で確認したところ、提出者から明確な回答はありませんでした。
グローバル企業の社員が日本に赴任→帰国→再赴任
ということもあるでしょう。
国内の労働力不足を補うために外国人技能実習制度がある昨今、この制度により日本で働くために再入国する外国人もいます。
請願事項に記載されている「永続的に帰国する前提」=「日本に来た外国人が二度と来ない」という表現が昨今の情勢と合わないため、請願には反対しました。
「永続的に帰国する前提であるという制度の趣旨」という表現が今の社会情勢にあったものであれば、結果は違ったかもしれません。
※一部修正しました
なお賛成少数のため、西宮市議会として意見書提出はありません。
②以下は委員会で述べた反対です。
===============
国民年金や厚生年金保険(共済組合等を含む)の脱退一時金は、日本国籍を有しない方々が日本を出国する際に、特定の条件下で請求することができる制度です。この制度は、特に10年の加入期間を満たせずに年金受給権を得られない外国人労働者の事情を考慮して設けられています。
令和3年度には9万6千件、過去10年間で累計72万件以上の脱退一時金の申請がありましたが、この増加は、日本国内での外国人労働者の数が増えていることを反映しています。 しかし、実際には、帰国にともない一時金を受け取った後に日本に再入国し、再度就労する外国人も少なくありません。
請願で提起された脱退一時金制度の問題は重要であり、制度の見直しの必要性があることは認識しています。しかし、請願が求める「永続的に帰国する前提」の制度趣旨は、グローバル化した現代の労働市場や人々の流動性を考慮すると、現実と合っていないと思われます。労働市場の変化や国際的な人の動きを反映した、より適応性の高い対応策が必要だと考えます。
また、政府は、脱退一時金制度を含む年金制度全体の公平性と持続可能性を確保するために、広範な観点から検討を進める必要があるとしています。 したがって、提出された請願に対しては、その趣旨を理解しつつも、現実の労働市場の状況と国際社会の動向を踏まえた上で、不採択とします。
==============
③最後に、画像では読みにくい方のために請願の本文です。
==============
年金制度における外国人への脱退一時金の是正に関する意見書提出を求める請願
請願趣旨
国民年金や厚生年金保険(共済組合等を含む)の被保険者(組合員等)で日本国籍を有しない方が日本を出国する際は、脱退一時金を請求することができます。昨今、脱退一時金の裁定件数は増加傾向にあり、令和3年度は9万6千件に達し、過去10年の累計は 72万件を超えています。年金を受給するためには最低10年間の加入期間が必要ですが、10年を満たすことができず受給権を得られない、外国の方々に特有の事情を踏まえて例外的に脱退一時金の制度は設けられています。
しかし、同制度は再入国を妨げていないため、のちに日本において再度就労することができます。
入国時には就労ビザや留学ビザであっても、やがては永住資格などの申請を行うことができるようになっており、永住資格を持つ外国人であっても、脱退一時金の申請を妨げる ようにはなっていません。
日本人は基本的に公的年金を脱退することはできず、特に派遣労働者が雇止めになった等の場合に、生活に及ぼす影響に大きな差が生じるなど、国民が強い不公平感を抱く状況となっています。
請願事項
脱退一時金を請求した方は、永続的に帰国する前提であるという制度の趣旨に立ち返り、政府において必要な実態把握を行い、在留資格に関する議論の進捗も踏まえながら次期年金制度の改正に向けて必要な検討を行うよう強く要請する意見書を、地方自治法第99条 の規定により提出していただきますようお願いいたします。
コメント